ウェルズ・ファーゴ銀行とスルガ銀行の不正の類似点
戦後の銀行史において前代未聞の事件に発展する事が確実になってきた今回の「スルガ銀行事件」。
日本においては前代未聞だが、海外を見渡すと類似する銀行がある。
不正が原因で莫大な罰金を課せられた銀行がある事をここに記したい
<ウェルズ・ファーゴ銀行>
「1852年創業、全米に6,000を超える拠点を持つ。西部サンフランシスコを拠点とし、地域密着型のリテール(個人向け)業務に重点を置いた経営に特徴があり、 個人向け住宅ローン、自動車ローン、学費ローン、デビットカード、保険、中小企業向け融資などで全米屈指の業績を誇り、支店の雰囲気や行員のサービス態度などでも評判が良い。」
ということで持ち上げられ、全米で3-4位に位置する銀行の地位を築いた。
この銀行が「前代未聞の不正営業」を働き、米国の金融庁にあたる組織(CFPB:米消費者金融保護局)から、1億9,000万ドルの罰金を支払うことになったのだ。
さらに、この事件をきっかけにCEOが2017年に引責辞任、追加調査で自動車や住宅ローンの不正も発覚し、今年の2018年に罰金10億ドル(約1,000億円)を課せられている。
この銀行の経営戦略の中核は、「クロス営業」と言われるものだった。
それは一人の顧客に様々なサービスや商品を「複数販売」することを強化し、口座を開設させると行員にインセンティブが与えられる形態になっていました。
この「複数販売」を「グレート8」と名付け、一人の顧客に8つの口座開設を迫るものだった。
スルガ銀行と同じく、この銀行の行員には厳しい「ノルマ」が課せられ、そのことが不正行為を増長させたのだと分析されている。
また、ノルマが達成できない従業員は次々解雇されたと言われている・・・。
スルガ銀行と同じである・・・。
そのスルガ銀行の現会長である岡野氏が社長在任中に受けたインタビューの内容を下記に記載する。
「高収益を上げていた『米国の地銀』を研究。邦銀では前例のない、CRM(顧客情報管理)で蓄積した顧客情報を基にマーケティングを駆使する、リテール(個人向け)バンキングモデルに生き残りを懸けた。」
と答えている。
米国のどの地銀を研究したのか明言していないが、米国でこの時期にリテール(個人向け)営業に力を入れていた銀行はウェルズ・ファーゴ銀行以外見当たらない。
つまり、スルガ銀行の岡野会長兼CEOは不正営業を働き、米国の金融庁にあたる組織から、多額の罰金を支払い、倒産した銀行をモデルに経営したのだ。
その証拠にスルガ銀行とウェルズ・ファーゴ銀行の戦略が見事に一致する。
✔「個人向け」に特化した地銀。
✔厳しいノルマの達成の為、不正な融資審査を行うことで銀行として営業成績の伸びを確保。
✔営業成績の良かった行員の出世と業者からキックバック。
✔金融庁の森長官に褒められ、決算発表でスルガ銀行自体が認めているように増収増益を目指さなければならない社内の雰囲気からコンプライアンスの欠如。
✔露骨な「クロス営業(複数販売)」が行われた。
①土地融資
②建物融資
③定期預金
④定期積立
⑤高額な金利のフリーローン(別途MRFの口座まで作らせる。)
⑥カードローン
⑦生命保険
⑧高額な年会費のクレジットカード
ウェルズ・ファーゴ銀行と同じ「グレート8」になる。
さらに、どちらがより悪質かと考えるとスルガ銀行の方が悪質である。
例をあげると「クレジットカード」がある。
ウェルズ・ファーゴ銀行は、顧客の了解なくクレジットカードを作成する不正をしている。
ただ、これはこのクレジットカードには年会費は無料であり、顧客の実被害はない。
一方のスルガ銀行は年会費が数万円のクレジットカードの作成を融資の条件として強制された被害者もいる。
また、ウェルズ・ファーゴ銀行より悪質と決定的に言えるのが、通帳改竄、年収改竄、販売図面改竄等により「自己資金0」によるオーバーローンを実現する「スルガスキーム」である。
この「スルガスキーム」を駆使してスルガ銀行は不正融資を主導したと言われており、スマートデイズ等の販売会社と同列、いやスルガ銀行が融資を実行しなかったら今回の事件はなかったので、最も悪質な詐欺会社である。
融資実行の際には振込先が不明の「空欄」となっており、数千万円が1物件あたり何処かに抜かれている。詐欺を主導した証拠である。
以上のように、ウェルズ・ファーゴ銀行より悪質であり、現在の不正を排除する日本の世論の中で、金融庁が米国当局より緩い罰則や指導をするはずがない。
現在の日本の法律では罰金はないが、それに等しい以下で示す行政指導があるべきではないか。
★業務停止(すくなくとも融資業務の停止は必須)
★地銀再生のモデルケース
★廃業
金融庁がここで甘い判断を下すと日本の金融業界が、世界から信頼されなくなる。
また、何より今回のスルガ銀行事件の一番の被害者である1,258人にも上る物件オーナーが集団破産する事が万が一にもあれば、行政処分を受け入れた後でもスルガ銀行が銀行としての信用を回復し、存続できるとは到底思えない。
銀行として存続し続ける為には世間一般へも示す「責任の取り方」が何よりも重要である。
スルガ銀行・スマートデイズ被害者同盟としても、今後もスルガ銀行の対応を注視したい。
By 原案:レイリー 編集・構成・加筆 にゃん太郎
参考資料
「ウェルズ・ファーゴの不正営業と米銀の経営環境」坂本恒夫 経営論集 64巻第4号 2017年3月
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